Last update:2017.07.24
渋谷・ユーロスペース 21:00~
上映終了後、渡辺シュンスケと菊池健雄監督のトークイベント。監督登壇後、客席後方より渡辺シュンスケ登場。
シュンスケの足元には缶ビールも用意され、時折飲みながらの対談となった。
以下、対談の一部をメモから書き起こしてまとめた。
一部ネタバレも含まれるので、映画をまだ観てない方は、先に映画を観てから読むことをお勧めする。
Talk Memo
渡辺:
ちゃんと観るのは2回目。見るたびに違う感じ方。
階段のシーンは上る方が多い?よく『大人の階段を上る』とか言いますよね。
菊地:
葵は下りるシーンが多い。あとは上るのがほとんどだが、はづきはラストでガッツリ下りるシーンにしている。
菊地:
悦子さんの家は、最初台本では "坂道の上" という設定だった。
ロケ班出張で、"階段の上" にある家に。(階段と家と)別々の場所で撮影して編集する手もあるが、「どこでやるか」にはこだわっていて、桐朋学園の階段が印象的なので設定を変えた。「風景はただ」とは、瀬々敬久監督の言葉。撮影許可は必要だけど。
菊地:
監督作品1作目「ディアーディアー」では、車に乗ると何かが起こるという手法を使った。それは、黒沢清監督作品にあるもので、対談をしたときにパクったと見破られ苦い思い出も。その車を、今回は階段にした。
渡辺:
悦子さんに手紙を渡され「えっ?」というシーンで、何度も、そうじゃない…とNGに。(演技指導)説明を受けているときに、「えっ?」と(問い返すように)聞いたら、「それ!」と言われた(笑)自然な演技というのは難しい。
あと、ウソが本当に見えたりする感じがある。
菊地:
映画は日常とは違う。ウソを自然ぽく見せる。そのウソを自然に見せるために、音楽が一躍買っている。音楽の力。
オープニング始め、何度も使われている曲は、いわば裏のテーマ曲。これが滅茶苦茶効いている。
渡辺:
音楽を始めたきっかけが映画にもある。菊地監督は素敵な方で、一緒に仕事をするのが楽しい。
菊地:
走るシーンの曲も良かった。仮編集の段階でつけた曲が録り直しになったのだが、その(変更依頼)電話をかけるときに(申し訳なさそうに)どうかなーと。すごくイメージが固まってるアーティストもいる中、シュンスケさんは柔軟に対応してくれた。
渡辺:
(変更依頼は)嫌じゃなかったですよ。だって言っていることすごくわかったし。楽しかった。
菊地:
僕も楽しかった。
渡辺:
音楽は5分とか6分、歌だと3分くらいのものを、イントロ、歌詞、アレンジなどしていると、飽きてくる。わかんなくなってくる。
映画は1~2時間、人の集中力を引きつけなければならない。見直したり、バランスとかどうしてますか?
菊地:
僕も、わかんなくなる。
カット割りを伝えて、20~30分ごとブロックにわけて編集し、それから通してみる。
他のプロデューサーなどにラッシュ(確認用)を見てもらい、好き勝手に感想を言ってもらい、それを聞いて凹みながらも修正していく。
次の朝に見直すとか、時間がない時は、お昼をはさむとか、時間をおくことで客観的に観るようにしている。
渡辺:
僕は飽きっぽいし、自家中毒みたいになる。パソコンで家でデモを作ったりだと、集中力が落ちて何もしたくないとか。
渡辺:
(映画製作は)創作意欲を掻き立ててもらった。みんなで一緒に作っている感じが好き。ダメ出しされるとワクワクする。ギャフンと言わせようとか。
渡辺:
昔、家のソファとかひっくり返して、妹にお化け屋敷を作ったり。本当は自分で楽しみたいし、自分が驚きたい。でも自分で作ると分かってしまっている。だから人を驚かせる。
渡辺:
編集するとき、足すのは簡単、引き算は難しい。監督はそれが上手だと思う。
菊地:
自分がもっとも気に入っているシーンを落とせ、とよく言う。
お母さんが寝ているところを葵がみつめるシーンは、とても気に入っていたけれど、それでバランスを考えたりして落とした。
渡辺:
いろんな世代の女性が出てくる映画。
僕のおばあちゃんも認知症だった。おばあちゃんがどんどんかわいくなっていく。手紙を書いていたけれど、おばあちゃんからの手紙で、郵便番号のところにマスをはみ出て電話番号を書いてたり(笑)
菊地:
母や祖母をみていると、どんどん子供になっていく。
渡辺:
「ハローグッバイ」をもっと愛してください。
最後に観客が撮影OKのフォトセッションタイム。プレス向けの時のように、まずはセンター、そして左サイド、右サイドと向きを変えてファンサービス。
終了後には、パンフレット購入者にサイン会というおまけ付き。
先週舞台挨拶時に購入済みの私も、再購入して列に並んだ。
先週、舞台挨拶の時は、「もっと好きになってください」だったのに、そういえばどのプレスの記事にもならなかった。
「もっと愛してください」といえば、Schroeder-Headz「特異点」リリースツアーを思い出す。MCで言ったとか?噂で聞いている。
映画「ハローグッバイ」は、今回3度目の鑑賞だったが、また新たな発見がありビックリ。
葵とはづきが、それぞれ悦子さんの手を取り「ありがとう」というシーン。そういう意味だったのか!と今さら気付く。
1度目は心揺さぶられたところが映画の本筋からズレまくり…と思っていたが、今思うと、自分自身がはづきや葵のように、悦子さんから影響を受けたのだと思う。つまり、「ハローグッバイ」という映画の世界に入り込んでしまっていたのだ。現実との境目がなくなって、映画を観た後、この半年の間に現実が変わった。
半年前と変わった今、2度、3度と見ることで、やっと客観的に観れるようになったのかもしれない。葵やはづきが「ありがとう」という気持ちは、半年前とは変わった今の私の気持ちそのものだ。菊地監督のマジックにまんまとかかってしまった。
派手さはないけれど、本当にジワジワ心に沁みてくる素晴らしい作品!Schroeder-Headz の主題曲「手紙が届けてくれたもの」が叙情的なのも、見事にマッチしているし、俳優渡辺シュンスケ演じる幸二郎の鼻歌は、何度見ても、聞こえてきた途端にゾクゾクしてしまう。
友達ってなんですか?
映画「ハローグッバイ」を見るにあたり、その度に、友人と一緒だったからこそ成し得たことが思い浮かぶ。
友達とは…
一人ではとても出来ないようなことも、化学反応を起こして可能にしてしまうような、心強い味方…かなー。