Last update:2020.03.06
アルバム『Café Bohemia』の完全再現…という触れ込みなのに、このゲストの多さは何なのだろう?と訝しんではいた。
趣旨をよく理解できないままライブに臨んだため、その認識不足のせいで、オープニング GLIM SPANKY による「Strange Days」は、状況理解の雑念思考が巡る中で聞くこととなった。
佐野元春が出てこない?!
心構えができていなかったので出鼻をくじかれつつも、2曲目「HAPPY MAN」では気持ちを切り替え一緒にシャウトする。つづく田中和将、山中さわおで、なるほど!アルバム『Café Bohemia』から1曲と、もう1曲ずつ。つまり元春ファンのプロによる元春セッション、しかもバンドは本物の HOBO KING BAND を主体とした、Café Bohemia GRAND ROCKESTRA という贅沢な企画なのだ。そう理解しかけたところで RHYMESTER は1曲のみではけてしまった。「COMPLICATION SHAKEDOWN」が見事にハマって素晴らしかったので、次も!と期待した矢先の退場に、気持ちが置き去りにされてしまった。
振り返ってよく読むと、オフィシャルはカバー・セッションという的確な表現をしていた。
再現というには誤解を招く内容で、企画側の宣伝の仕方には疑問を持った。佐野と一緒に歌うものと勘違いしたし、それでは全然イメージわかず変な期待を持たなかったため、その点では切替えがうまくできて良かった。ライヴ演奏は素晴らしかっただけに、最初の欺かれた感が拭いきれないことが非常に残念だ。
ライヴ演奏そのものは本当にとても素晴らしく、良い企画だった。若い世代もこの名曲たちを歌い次いでくれる喜び。
田中和将や山中さわおからは、MC だけでなく歌い方からも憧れのリスペクトが伝わってきたし、小坂忠や山口洋の堂々とした歌唱は、長年の親交により最早持ち歌の印象すら感じた。
LOVE PSYCHEDELICO も佐野と所縁が深く「彼女が自由におどる時」はアルバム『月と専制君主』にゲストで一緒にレコーディングしたバージョンが収録されているが、ライヴで聞くのは初めてかもしれない。じわじわと感動が広がる。
つづく堂島は、特に最後のキメが元春そっくりで最高。錚々たるメンバーたちの演奏を、バシッと片手で切るように止めると、肩からギターを外し右手で高く掲げ仁王立ち。かと思ったらやや演技がかった感じの小走りで袖にはけてゆく。ユーモアを交え、かつリスペクトを感じる"物真似"で笑わせてくれた。
中村一義の「クリスマス・タイム・イン・ブルー」も、なるほど!と唸るほど選曲がピッタリで、季節外れなこの時期にこの曲が聞けることも嬉しかった。アルバムから全曲演奏という企画ならではのことで、セットリストに入ることは予めわかっていたにも関わらず、感動だった。
そして最後に、真打登場ならぬ佐野元春の登場!
個人的に一番注目していた「インディビジュアリスト」も、山本拓夫と西村浩二のホーンセクションが生き生きとして効いている。オリジナルアレンジをライヴで聞くのが初めてだったので、新鮮に感じた。
「Café Bohemia」のインストゥルメンタルも見事に"再現"されて感涙もの。久しぶりに聞くロックな HOBO KING BAND、もとい Café Bohemia GRAND ROCKESTRA のバンドサウンドは、懐かしさを伴いつつも変わらぬ"確かな味わい深さ"があった。
冒頭で批判的な意見もあげたが、この企画を実現してくれたこと、またこの場に立ち会えたことに改めて感謝したい。
どうもありがとう!
佐野元春
武部聡志/松任谷正隆
Dr.kyOn/古田たかし/井上富雄/長田進/山本拓夫/西村浩二/大井"スパム"洋輔/佐々木久美/TIGER
ゲスト:
GLIM SPANKY/田中和将(GRAPEVINE)/山中さわお(the pillows)/RHYMESTER/小坂忠/山口洋/LOVE PSYCHEDELICO/堂島孝平/中村一義
Set List
- Strange Days/GLIM SPANKY
- HAPPY MAN/GLIM SPANKY
- 月と専制君主/田中和将(GRAPEVINE)
- ジャスミンガール/田中和将(GRAPEVINE)
- ワイルド・ハーツ/山中さわお(the pillows)
- スターダスト・キッズ/山中さわお(the pillows)
- COMPLICATION SHAKEDOWN/RHYMESTER
- ロックンロール・ハート/小坂忠
- 君を連れてゆく/山口洋 & 小坂忠
- NEW AGE/山口洋
- 彼女が自由におどる時/LOVE PSYCHEDELICO
- 虹をおいかけて/LOVE PSYCHEDELICO
- シーズン・イン・ザ・サン/堂島孝平
- レインボー・イン・マイ・ソウル/堂島孝平
- ガラスのジェネレーション/中村一義
- クリスマス・タイム・イン・ブルー/中村一義
- 99ブルース/佐野元春
- インディビジュアリスト/佐野元春
- ヤングブラッズ/佐野元春
- Café Bohemia/Café Bohemia GRAND ROCKESTRA
ENCORE
- 約束の橋/ALL CAST