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Schroeder-Headz「Guest Suite」④


Last update:2020.02.15

Schroeder-Headz「Guest Suite」①

Schroeder-Headz「Guest Suite」②

Schroeder-Headz「Guest Suite」③ のつづき

 

  1. Wildthing's Arm feat. ゆーきゃん

オリジナルは、2014年発売「Synesthesia」に収録。

ところがそれよりもずっと前、2011/9/3 京都・CLUB METROで既にコラボレーションされていた作品なのだ。(*1)

 

それを知ったのは、2015/6/14 金沢・もっきりやで共演したとの噂がきっかけだった。その時の詩が、ゆーきゃんのブログ(*2)に記されている。この時既に手を加えたとあるが、今回のアルバム収録にあたり、更に手を加えた跡が見られる。時の経過とともに洗練された…というよりも、時を経ることで新たな気付きや感じるものがあった…という方が近いかもしれない。

 

その後もコラボの噂は聞くも目撃できずにいたが、2017年に初めてゆーきゃんのステージを見る機会があった。ブログを読んでイメージしていた諸々…声、話し方、表情などが現実になる。この人なのだ!と。そうしてまだ見ぬコラボのイメージを膨らませていた。

 

いつかライヴで…という願いよりも先に、待望の音源化!

初めて聞くのに、年輪のような積み重ねを感じる。

ゆーきゃんのブログにもあるように、初演時にあったであろう大震災の空気をここに感じる。と同時にそれでも淡々と過ぎる日々のそれぞれの営み。

まるで、この曲の核にある感情をすくい出し掲げたかのようだ。

 

このコラボレーションをやっと聞けたことが、本当に嬉しい。

 

 

*1 渡辺シュンスケ ブログ「seymour's garden」

https://www1.blog.ss-blog.jp/2011-09-24

*2 ゆーきゃん ブログ「aka rui heya」 

http://akaruiheya.seesaa.net/article/420870371.html

 

  1. Across the carpet of stars

ライヴでの初演は、2019/3/20 渋谷 La.mama。

この日、10周年企画もこれから考えます、と話していた。

 

絶望的な悲しみのような、途方に暮れ呆然としている場面が浮かんだ。直前に知ったあるニュースのせいかもしれない。或いはどうにもならなくてもがいていた自分の心を映し出したか。けれど、その中でも煌きがあり、憂いとの間で感情の揺らぎ。辛い時、寄り添ってくれるような。そんな第一印象。

https://twitter.com/spEACH_balloon/status/1108431889159737344

 

タイトルから織姫と彦星を連想し、ピアノとサックスで奏でる愛の語らいに聞こえてくる。とかくこの世はままならない。願いと現実の隔たりに、そっと束の間の優しさで橋渡ししてくれるような。夢のような儚さ。

夜のバーでお洒落なカクテルを飲みながら聴きたい曲。飲まなくても、聴くだけで酔いが回り感情が揺らぐ。

 

  1. 手紙が届けてくれたもの feat. 渡辺シュンスケ

オリジナルは、映画「ハローグッバイ」主題歌として2017/6/14配信リリース。

その宣伝の一環としてラジオ「ディア・フレンズ」にゲスト出演した時のこと。パーソナリティの坂本美雨が曲を聞き

「歌詞つけたいな♪」

と言うと、

「本当は歌詞もつけて歌にして誰かに歌って貰いたかったけど、予算の関係で…」

と渡辺シュンスケが話す裏事情があったのも幸いしたか、これをきっかけに、feat. 坂本美雨 としてオリジナルに詞をのせ歌っているバージョンが早々に実現し、アルバム「HALSHURA」に同時収録された。

 

2018年の「HALSHURA」リリースツアーで、渡辺シュンスケ本人が歌いながら…というよりも、演奏しながら歌唱。このセルフカバーバージョンも素晴らしく、ファンの間ではリリースを期待する声が多かった。

 

そうした待望の feat. 渡辺シュンスケ。Schroeder-Headz は基本的にインストゥルメンタルなので、歌を歌うのは渡辺シュンスケということらしい。同一人物なのに(笑)

 

イントロはガラッと変えてきた。落ち着いたテンポと、憂いも感じるアレンジに、ライヴとは違った今までに聞いたことのないような歌声。シンプルで訥々としている。喋るように歌った、とのこと。

映画で演じた茅野幸二郎が生前に歌っていたとしたら、こんな感じだったのかもしれない。

 

坂本美雨の詞は、まるで映画のために書いたかのようにイメージにピッタリだし、それを役者渡辺シュンスケが歌うことでひとつの完結を迎えたと言えるだろう。

映画の中で経た時の流れが、10周年という時の流れにオーバーラップする。

 

Schroeder-Headz「Guest Suite」特典 へつづく